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仕掛学はオモロイ!

<なるほど!なイベント>

前回は書籍から「仕掛学」を紹介しましたが、
今回はシャレに厳しい関西人を爆笑させた「仕掛学」の実践を
日経ビジネスの記事から紹介します。

前回の記事はこちら↓
https://seiri-tsutaeru.com/mailmagazine/717/

■大爆笑のタイガース版「真実の口」

自粛制限が緩められ各地のスポーツ、イベント会場が
にぎわいを見せた2022年のゴールデンウイーク。
プロ野球阪神タイガースの本拠地、
阪神甲子園球場にも多くのファンが詰めかけていました。

その中でひときわ注目を集めていたのがタイガース版「真実の口」。

オリジナルの「真実の口」はイタリア・ローマの壁に掘られている顔型の彫刻で
映画「ローマの休日」のシーンでもでも有名です。

最近では明石家さんまさんが出演しているテレビCMでも登場していましたね。

創味食品 ハコネーゼ CM 明石家さんま オードリー・ヘップバーン「さんまの休日」篇


「真実の口」は「嘘つきがその口に手を入れると手が抜けなくなる」という
言い伝えで知られていますが、
タイガース版「真実の口」には、このように記載されていました。

本当の阪神ファンならアルコールがでます

そりゃ、口に手を入れますよね。

私は阪神ファンではありませんが、
手を入れてアルコールがでたら大喜びですね。

しかもこのタイガース版「真実の口」のデザインは、
タイガースのマスコットキャラクター「トラッキー」「ラッキー」「キー太」。

意味もなく3箇所回るかもしれない‥
実は私、体質的にアルコールがダメで予防接種の時にも、
「アルコールじゃないやつ」とお願いするのですが、
1箇所くらい体験してみたと思います。

これが「仕掛学」。

■自発的に行動させる仕掛け

「アルコールがでる」目的は、みんながわかっているように手指の消毒のため。

無理強いするのではなく、ファンに楽しんでもらいながら“自発的”な
感染対策を促したい、との思いだったそうです。

そして、その思いを実現するヒントになったのが前回紹介した書籍
「仕掛学」で紹介されていた事例、
大阪大学医学部付属病院で実施された
「手指衛生“真実の口”キャンペーン」。

新型コロナウイルスが確認される前、
今のように手指の消毒が当たり前になる前のこと
大阪大学医学部付属病院の来院者で手指を消毒していたのは、
わずか0.6%。

ところが真実の口を模した仕掛けを取り入れたところ、
そのおよそ20倍の約10%の人が「真実の口」に手を入れて
消毒するようになったのです。

そのキャンペーンを知ったタイガースの担当者が書籍「仕掛学」の著者、
松村真宏教授に連絡を取り実現したのが、
今回紹介している甲子園球場での取り組みなのです。

■面白がるのが断然楽しい

消費者に行動を起こさせる仕組みとしては、
「ナッジ理論」で知られる行動経済学と似ています。

私もここのところ書籍等を通じて行動経済学を学んでおり、
その流れで「仕掛学」を知りました。
ただ「行動経済学」と「仕掛学」には明らかな違いがあります。

それは「積極的に選んでもらうこと」。

行動経済学、特にナッジ理論の仕組みの特徴は、
対象者が“気づかずに”選択させられること。

対して仕掛学は、
行動の選択肢を面白くして“積極的に”選んでもらう手法。

手を入れると消毒液が出る「真実の口」は、
面白いからやってみようと利用者が行動を起こして初めて、
仕掛けた側の目的が達成されるのです。

松村真宏教授はこう語っています。
「実はこういう狙いだった、とネタをばらしても人々が
 (自分の行動を)後悔せず、
 むしろ面白がってもらえたら大成功」

こっそり実現するよりも「やられたー(爆笑)」となる方が
私は仕掛けるのも仕掛けられるのも楽しいと思うので、

これからは「仕掛学」の視点を自分の行動の基準に
していきたいと思います。

(有馬)

出典:タイガースファンも大爆笑 人が動きたくなるオモロイ“仕掛学”
/日経ビジネス
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/051900058/